復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「えっと、先週の金曜日の夕方だったかしら?秘書の鞍馬さんから突然そのようなお話をいただいて。東儀社長からはうちの滝本社長に土曜日に直接お電話があったらしいの。滝本社長、すごく喜んでらしたわよ」

 「そうですか……」

 金曜日の夕方といえばあのチャリティーガラがあった日だ。あのガラの間、鞍馬さんにそんな指示をしていたとは思いもしなかった。というかそんな暇いつあったんだろうか……?

 「そうなのよ。普通はこんな事ないんですけど、よほど橘花さんのことを気に入られたのね。この調子でこれからも東儀トレーディングで頑張ってくださいね〜」

 そう言って町田さんはガチャリと電話を切ってしまった。私はスマホを握りしめたまま、呆然とした。先手を打たれていて、これでは辞めたくても辞めることもできない。


 それから数日後の夕方──…


 「汐梨!お願い、助けて!」

 会社からの帰宅途中、私は半泣きになりながら媚薬をくれた親友に電話をかけた。

 あれからほぼ毎日のように東儀崇人に翻弄されて、ろくろく仕事にも集中出来ない。今日は事業提携を結んだアメリカの会社との重要な会議中に、彼と目が合って頭の中が真っ白になってしまい、何を通訳しようとしていたのか忘れてしまうというとんでもない失敗をしてしまった。

 「どうしたの!?」

 私のただならぬ気配を感じてか、汐梨の焦ったような声が聞こえる。その声に、ここ数日の極度のストレスからか、ホロリと溢れた涙を慌てて拭った。

 「あ、あのね、あの媚薬大量に飲んじゃって、もう1週間近く経つのに体から全然抜けないの!」

 「へっ……媚薬?」

 「そう。あの東儀崇人に飲ませる為にもらった媚薬よ。それをね、あの東儀崇人に無理やり全部飲まされたの!!」

 「なっ!?なんでそんな事になってるの!?」

 驚く彼女に、私はさめざめと泣きながら今までの経緯を洗いざらい全て話した。
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