復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「で、でも……あの夜……」

 何が何だかわからなくなってきて、頭の中がぐちゃぐちゃに混乱してくる。

 「その……私もまさかこんな事になるとは思わなくって……」

 汐梨は少し申し訳なさそうな声で話を続けた。

 「あの夜私もかなり酔ってたし、ちょっとした冗談のつもりで渡したんだけど、でも実際に兄に会えば思い出すかなって思ったの。でも全然覚えてもいなかったみたいだし、まさか本当にあれを媚薬として使うなんて思いもしなかったのよ」

 そういえばあの夜、私も酔っ払って汐梨に東儀崇人のことを目が腐ってるとかかなりボロクソに言っていた気がする。それにさっきは鬼畜だとか言ったような気もする。

 (ちょっと待った……)

 突然その鬼畜という言葉に、ある可能性が私の脳裏に浮かんでくる。

 「汐梨、もしかしてなんだけど、その……東儀社長はまさかあの小瓶の中身が何か知ってるの?」

 「うん。実は逢莉が兄とバーで出会ったあの夜、速攻で電話がきた。逢莉がやたら気にしてる小瓶があるんだけど、中身はなんなんだって。だから結愛ちゃんの事とか穂月百合香の事とか正直に全部話した」

 (全部って……やっぱりあの小瓶の中身を知ってたんだ。それなのに私にあんな事を……!)

 一瞬憤慨するものの、ますます混乱してきて再び頭を抱え込んだ。

 ただの水と知っていたのなら媚薬としての効果は全くないとわかっていたはず。だったらどうして私を抱いたりしたんだろう……?初めて会ったあの夜、どうして私を抱いたりしたんだろう……?
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