復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 そんな混乱した私の頭の中を見透かしたのか、汐梨は優しい口調になった。

 「兄ね、ああ見えても実は結構一途なのよ」
 「へっ……?一途……?」

 「あのミスコンの後さ、一度兄に会ってみない?って尋ねたことあったんだけど、覚えてる?でもあの頃の逢莉はお母さんを亡くしたばかりで大変そうだったし、それに結愛ちゃんに寂しい思いをさせたくないから誰とも付き合わないって言ってたでしょ?その気持ちは私も兄もよくわかるから、だから私もあえてその後は尋ねなかったの」

 そういえば、あのミスコンの後、兄とお見合いしてみないとかなんとか言っていたのを朧げに思い出した。確かにあの頃の私は母を亡くして生活するので精一杯だったし、結愛のこともあって恋愛など全く考える余裕もなかった。

 その後も、結愛が無事に社会人になるまでは結婚しないと宣言していたし、確かにそこまで心を揺さぶられる人に出会わなかったこともあるけど、結愛を一人ぼっちにさせない為にも彼氏を作らないと心に決めていた。

 「ごめん、なんか騙すような事になっちゃって。何度か逢莉に兄の事を話そうかと思ったんだけど、兄が自分で逢莉を口説き落としたいから邪魔するなって、口止めされちゃって。でも、兄の事をあまり恨まないであげて。これでも逢莉の気をひこうと必死なのよ」

 私はスマホを握りしめたまま、なんとか汐梨の話を頭の中で整理しようとした。

 彼女の話だと、あの東儀崇人は私を好きだという風に聞こえてしまう。しかもあのミスコンで出逢った時からだ。

 でもなぜ……?と頭の中で疑問符がクルクルと回る。だって彼と私では住む世界も身分も何もかも違う。私はごくごく平凡な何もない人間だ。一体彼は私の何を気に入ったんだろう?ただの気まぐれ……なのだろうか……?
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