復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「どうした。体が疼くのは、媚薬のせいじゃなかったのか?違うのか?」

 再びそう尋ねれば、彼女は赤面したまま黙り込んでしまう。そんな彼女があまりにも可愛くて、我慢できなくなった崇人は彼女の手にするりと自分の指を絡ませた。

 「逢莉、俺の目を見てみろ」

 ゆっくりと顔を上げた彼女の瞳は、困惑したように、戸惑ったように微かに揺れている。恋愛初心者の彼女の心がぐらぐらと揺れているのが手に取るようにわかる。彼女は恋愛の狡い駆け引きなど全く知らない純粋無垢の綺麗なままだ。


 「あ、社長、ここにいらっしゃったんですね……っと」

 第一秘書の鞍馬が書類の束を抱えながら会議室に一歩足を踏み入れるが、崇人の陰になっていた逢莉を見つけて慌てて歩を止めた。

 「あああのっ、私はこれで失礼します!」

 逢莉は飛び上がるように崇人から離れると、大急ぎでメモ帳や書類の束を掴んで逃げるように部屋から飛び出した。


 「お前はいつもタイミングが悪いな」
 「今は勤務時間中ですよ。一体何やってるんですか」

 鞍馬は涙目で走り去っていく逢莉を横目で見ながら、メガネのブリッジを指で押し上げた。

 「可愛すぎてどうしても構ってしまうんだ」

 「どうせまた鬼畜な事をやって彼女を困らせてるんでしょう。社長はいつも手に入れたいものには容赦ないですからね」

 「そうか?」

 崇人はクツクツと笑いながら、鞍馬が持ってきた稟議書に目を通した。
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