江戸恋日記

少女の思い

江戸の城下町で小料理屋を開いている家族がおった。その小料理屋は地域の人々にも、侍にも愛される小料理屋だった。

その小料理屋の店主であるツユという名の女性の娘、16歳の若い少女、マツもこの小料理屋で働いていた。

ある日、店を閉めようと戸締りを母(ツユ)と少女(マツ)でしていたとき、母が口を開いた。

「あんた、もうすぐで17になるだろ?もうそろそろ結婚相手を探してもいいころねえ」

母の言葉に少女は顔を困ったようにしかめる。

「いいわよ、そんなの。私は結婚しないでこの小料理屋を継ぐの」

少女の言葉に母はため息をついた。

「知ってたわ。あんたはそう言うと思ってた。でもね、結婚したら幸せよ。私は旦那と結婚してから毎日が幸せ、おかげであんたにも会えたし」

少女は母の言葉にも納得出来た。

「でも、私が出ていけばお母さんはひとりになっちゃう」

少女の父(孝介)は位の低い侍で、仕事のため、全国を旅して回っている。

母はまたため息をついた。

「いいのよ、別に。確かに悲しくなるだろうけど....」

母は少女に近づき、そっと抱きしめた。

「...あんたが幸せになることが、母の願いなんだから」

少女は温もりを感じた。

幼い頃に父に抱きしめてもらったことを思い出した。

ー少女の日記(6/15)ー

ねえ、お父さん。
お母さんはね、お父さんが出ていってから今まで、一回もお父さんに会いたいって言わなかったよ。

ふたりは愛し合っていたのに、どうして離れ離れになったの。

仕事なんかいいじゃない....

はやく帰ってきてお母さんと私を抱きしめてよ。

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