江戸恋日記

もう一度


今日はたくさんのお客さんが来ていて、いつもより忙しい日だった。

今はちょうど12時。店の外には列ができていて、注文も多いため、急いで料理を運んでいた。

忙しいし大変だけど、自分の作った料理を美味しいと言って食べてくれる人達がいてくれるから、私は続けられている。

席がひとつ空き、ひとりの客が入ってきた。

「いらっしゃいませ」

そう言って顔を上げると、

入ってきた客は、少女を助けてくれたお侍さんだった。

嘘...

今日は朝から忙しかったから化粧も何もしていない。

嫌だ...こんな醜い姿見られたくない....

でも、会えて嬉しい。

ふたつの感情が混じり合い、少女は一滴の涙を流した。急いでお侍さんに注文を聞きに行く。

「...ご注文をお聞きします」

お侍さんは目を見開いてそっと微笑んだ。

「貴方は前のお嬢さん。まさかこの小料理屋で働いていたんですね」

急な笑顔に驚いて、目線を逸らした。

「はい...。母のお店で.....」

お侍さんは「そうですか」とくすっと笑い注文表の天ぷらうどんを指さした。

少女が注文を紙に書き写していると、お侍さんの手がこちらに伸びてきた。

そして、目尻の涙を指でそっと拭った。

「また泣いていたんですか?泣き虫ですね」

そう言ってお侍さんは上品に笑った。

少女は突然のことに顔を赤くして、下を向いた。

〜少し時間が経った〜

お侍さんは天ぷらうどんを平らげ、少女に小銭を渡した。

「美味しかった」

少女はその言葉に顔を赤くした。

お侍さんが私に背を向け歩き出す。

嫌だ...もう行っちゃうの?

私はとっさにお侍さんの袖を掴んで言った。

「また、いつでも来てください....」

怖くて目線を合わせられず、下を向いた。

お侍さんは驚いたように目を丸くしてから、優しく微笑んだ。

「もちろん。また来ます」

ー少女の日記(7/12)ー

お侍さん。私は今日、貴方に会えてとっても嬉しかったです。

貴方が私の涙に気づいて、涙を拭ってくれて、私は心臓が持ちそうにありません。

貴方にまた会えた。
私はそれだけでとっても嬉しいのです。

次はもっとお話をしましょう。

愛しています。






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