江戸恋日記
運命の人
お侍さんに助けてもらった日から、少女の頭の中では桜が舞っていた。
私は....あの人に.....。
「お母さん」
洗い物をしている母に話かけた。
「なあに?マツ。まさか縁談する気になったかい?」
少女は首を振った。
「違うわ。少し相談よ」
「なんだい?なんでも言ってみな」
少女は顔を赤くした。
「人は恋をしたら桜が舞うの?」
母は吹き出した。
「何言ってんだよ、そんなわけないじゃない。でも、私がまだ若い時、そんなこともあった気がするわ。それは初恋ね」
少女は驚いた。
「お母さんがお父さんと出会ったのは14だと聞いたわ。お母さんは14歳で初恋をしたの?」
お母さんはまた吹き出した。
「そんなわけないでしょうが。私の初恋はちょうど10歳の時よ。幼なじみの男の子を好きになったわ」
少女は驚いた。
「お母さんはお父さんが初恋じゃないんだ」
「たくさんの出会いを経験したからこそ、私はお父さんがいいと思ったの」
少女はしばらく考えた。
ー少女の日記(7/7)ー
結婚するのは 私は助けてくれたお侍さんじゃないと嫌....
初恋の人と、運命の人が違うなんて、
絶対に嫌だ....
私の初恋の人も、運命の人も
全部あのお侍さんじゃないと嫌だ....。
ねえ、お侍さん。
愛してる...
とっても愛してるわ。