私たちの恋風は、春を告げる
病院のベッドに横たわって点滴を打たれるなんて、テレビのドラマとかドキュメンタリーとかでしか見たことがなかったから、自分が今その立場になってるのがすごく変な感じ。
今まで病院とは無縁なくらい、健康体だったから。
「咲茉」
ドアが開いて、お母さんが入ってきた。
「寒かったりしない?大丈夫?」
「うん、全然大丈夫」
「お母さんちょっと売店行ってくるけど、いい?」
「大丈夫!何かあったら看護師さん呼ぶから」
不安げな顔をするお母さんに私は答えた。