果実と恋のバスケット
「不気味、じゃないんだね」
「不気味ってなんだか、マイナスなイメージが付くでしょう…?ミカンくんも私がみんなを生み出したって言っていたし、みんなは優しいからマイナスなイメージは似合わないと思って…」
私が首を傾げながらそう告げると、リンゴくんは今度こそ驚いたように大きく目を見開く。
困ったように苦笑を浮かべると、彼は紅茶のカップの持ち手をゆるく握った。
「…あのね、アンズちゃん。僕らは確かに人に似ている。けど、僕らはあくまでフルーツ。人じゃないんだよ。本来人の世には存在しない…不気味な存在だ」
リンゴくんは苦しいみたいな、悩みのような何かを抱えた声色で私にそう言う。
確かにそうかもしれないけれど、でも、不気味じゃないと思う。
彼らは「人間」じゃないけれど、感情を持つ「人」だ。
化身という名の、人。
私はそう思う。