課長はブラックサンタ……だったはずなのに
 データを入れ替えて少し書き直すだけでいいので、思ったより早く仕事が終わった。
「課長、終わりました」
 報告すると、課長はパソコンから顔を上げた。

「さすが仁科さんだ、早いな」
「それほどでも。もっとほめてくれてもいいですよ」
「偉い偉い」
 課長が軽い感じでねぎらってくれる。

「頑張ったんだから、サンタさん、なんかプレゼントくれますかねえ」
「じゃあメシでも奢るよ」
 課長の言葉に私は焦った。

「すみません、催促したわけじゃないです。大人にもサンタがいたらいいなと思っただけで」
「帰ってもひとりだし、メシに付き合ってくれよ」

「恋人いるって聞きましたよ。噂ではハーレムを作ってるとか」
「ひどすぎる。恋人はいないし、ハーレムもない。まったくモテないよ、俺は」

 課長は呆れたように苦笑した。
 女性陣が牽制しあった結果、一見モテてないように見えるだけなんじゃないのかな。

「まあ、だから安心しろ」
「課長と一緒にごはんなんて、バレたらみんなにいじられるのに」

「バレなきゃいいんだろ」
 そう言って、課長はスマホでどこかに電話を始めた。
「これから行きます。ふたりで……はい、はい」

 え、もしかしてこれって。
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