巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!
「あ、いけない! もう着替えないと学校に遅れちゃう!」


 私は袴のすそをバタつかせながら自宅に向かって走った。

 うちは、破魔矢やお守りを売っている社務所(しゃむしょ)の奥が自宅になっている。


「んもー、いちいち着替えるのめんどくさい! なんで毎朝わざわざ巫女の衣装を着なきゃいけないのかな!」

「これ。罰当たりなことを言うんじゃありません」


 自分の部屋で文句を言いながら制服に着替えていたら、いつの間にかお母さんがドアの所に立っていて叱られちゃった。

 お母さんもこの神社のひとり娘で、神主のお父さんをお婿さんにもらって、この神社を継いだんだ。


「由巫はね、この神社を継がなきゃならないの。巫女らしくするのは当然でしょ?」

「はいはいはーい。わかってまーす」

「はい、は一回! お父さんにもちゃんと挨拶してから学校に……」

「あ、もう時間ないや。じゃ、お父さんによろしく! 行ってきまーす!」

「ちょっと、由巫!」


 着替え終わった私は、挨拶もそこそこに大急ぎで自宅を飛び出した。

 こういうとき、学校まで走って五分の距離はすごく助かる。ほら、もう学校が見えてきた。
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