巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!
波乱だらけの学校生活、スタート
 翌日の朝。生徒玄関に向かってノロノロ歩いている私に、春菜が声をかけてきた。


「由巫、おはよう!」

「おはよう、春菜。ふわあぁ~……」

「大きなあくびだね。寝不足?」

「う、うん。ちょっとね」


 私は笑顔でごまかした。

 昨夜はなかなか寝付けなかったんだよね。あんなことがあった後だから。

 もちろん例の件は、春菜にも親にも、誰にも言っていない。

 もしも真実がバレたら、世界中が大パニックになっちゃうもん。

 はあ……。ずいぶん大きな秘密を抱えちゃったなあ。

 十二支なんて、どうやって探せばいいんだろう。

 元は動物だから、(えさ)でも置いとけば勝手に寄ってくるかな?

 動物と言えば、三人が動物に変身したときは本当にビックリしたなあ!

 でもちょっと時間を置いたら、人間の姿に戻ったからホッとしたよ。

 これからしばらくは、バレないように学校内に住み着いて仲間を探すって言ってたっけ。

 十二支たちは、お互いの擬人化した姿を知らないらしくて、もし廊下ですれ違ったとしても、相手がわからないんだってさ。

 だからって、あの平安朝の衣装で学校中を歩き回られても困るよなあ……。


「お、由巫が来たぞ! おはよう!」

「やっと来たか。我を待たせるでない」

「由巫はお寝坊さんやなあ」

「……え? えぇ⁉︎」


 な、なんで⁉︎

 なんで私を悩ます張本人の三人が、堂々と生徒玄関前で笑顔で手を振っているの⁉︎

 しかも、うちの学校の制服まで着ちゃってる!


「あんたたち、なんで……!」

「おっはよー。志狼君、龍生君、宙太君!」

「……へ? は、春菜?」


 どうして春菜が三人に普通に挨拶してるの?

 まるで以前からの知り合いみたいに。
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