巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!
 みんなで教室に向かいながら、話すことはやっぱり十二支探しのことだ。


「残りのみんなは、どこにおるんやろなあ」

「なぜ姿を現さぬのじゃろうな」


 そこなんだよね。

 志狼君たちはファンクラブが結成されるほど話題になってるし、晴牛君の大食いや、春馬君のエレガントキャラは大注目だし。

 ガス漏れ騒ぎもあったんだから、仲間がこの学校にいるならピンときて姿を現しそうなもんだけど。


「もっと、あいつらの注意を引くような出来事が必要なのかもな」

「注意を引く……。あ、そうだ!」


 私は両手をパンと打ち鳴らした。

 あるじゃん! めっちゃ注意を引く出来事!


「学園祭があるじゃん!」


 うちの学校の学園祭は、各学年が出し物を披露して競い合う。

 今年の一年生の出し物は『桃太郎』の劇だ。

 どの学年も、かなり本気出して勝利を目指してるから、劇にみんなで出演すれば嫌でも全校から注目される!


「おお、桃太郎かあ! なつかしいな!」

「え? なつかしい?」


 志狼君、まさか桃太郎と知り合い、とか?

 いやいや、まさか。だってあれは、ただのおとぎ話……。


「あの話に出てくる犬って、俺だもん」


 けろっとした顔で言われて、私は(あご)が外れるほど驚いた。


「志狼君が桃太郎のお供をしたの!?」

「おう。ちなみに猿は慧申な。キジも十二支の(とり)だったんだ」

「我らの神が、桃太郎から鬼退治の手助けを頼まれたのじゃよ」

「そうそう。で、期間限定で志狼たちが貸し出されたんや」
< 43 / 113 >

この作品をシェア

pagetop