巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!
 だってさ、現代ではいろんな謎が科学で解明されてしまっているでしょ。

 大昔なら神秘だったものが、今ではただの自然現象。

 日本の国土は神話のイザナギ、イザナミっていう神様の夫婦が作ったんじゃなくて、マントル対流だって普通に知ってるし。

 これでどうやって神様を信じろと?


「由巫の言う通りだとは思うけど、神社の跡取り娘がそれって問題ないの?」

「うーん……。自分の主義と立場のギャップに悩んではいるよ」


 うちの神社で七五三を祝ったり、結婚式を挙げるご家族を見ていると、罪悪感が湧くんだ。

 なんていうか、(だま)してるみたいな気がする。

 だって神様やご利益なんてこれっぽっちも信じていない私が、さも神のご加護を信じているふりして祭事(さいじ)をしてるんだよ?

 しかもこんな現実主義な私が将来、あの神社を継ぐことが決定しちゃってる。

 あぁ、地域の皆様に対してすごい罪悪感……。


「榊さん」


 悶々(もんもん)と考え込んでいたら、背後から急に声をかけられてビクッとした。

 この、妙にトゲのある声は……。


「な、鍋島(なべしま)先生。おはようございまーす……」
< 5 / 113 >

この作品をシェア

pagetop