クリスマスには甘い予約を
 いっそ、本人に聞いちゃおうか。
 冗談だったって言われたら、すっきりする。冗談を真に受けたやつって笑われちゃって恥ずかしい思いをしそうだけど、もやもやしてるよりいいかも。

 鈴橋くんが給湯室に行ったのを見て、私も給湯室に行った。
「お疲れ」
 声をかけると、
「お疲れ」
 鈴橋くんは振り返ってにこっと笑った。
 笑顔がまぶしい。夕方の疲れのたまった時間にこんなさわやかに笑えるのはきっと彼くらいだ。

「あ、あのさ、イブのことなんだけど……」
 私が切り出したときだった。

「ねえ、鈴橋くん、二十四日、予約とれた?」
 給湯室に向かって女性の声がかけられた。
 会社で一番と美人の噂の榛名さんだ。
 私は驚いて彼女を見て、鈴橋くんを見た。

「大丈夫、予約はとってあるよ」
「わかった、サンキュ」
 榛名さんは輝く笑顔を鈴橋くんに向け、私に会釈をして去っていった。
 私は言葉を失くした。
 彼女が予約の確認をしたということは、彼とふたりで出掛ける予定があるということだろう。

「で、なんだっけ?」
「なんだっけ、忘れちゃった」
 えへへ、と笑って私は給湯室を出た。
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