クリスマスには甘い予約を
 やっぱりただの冗談だったんだ、と私はがっかりしながら会社を出た。
 二十四日に予約をとるってことは、きっとディナーの予約だよね。
 イブにディナーデートっていうことは、やっぱり、つきあってるってことだよね。
 そんなこと、まったく気がつかなかった。
 私は涙が浮かびそうになるのを必死にこらえて家に帰った。



 翌日は淡々と仕事をして、定時に会社を出ようとした。
「あ、前田、ちょっと待って」
 ちょうど帰社した鈴橋くんに声をかけられ、私は立ち止まる。

「ちょっとこっち来て」
 ちょいちょいと手招きされて、私は困惑する。
「なに?」
 昨日の今日で話をするのはちょっとつらい。だけど無視するわけにもいかなくて、言われるままにひとけのないほうに誘導される。

「結局、返事聞いてなかったからさ。二十四日、いい?」
 私は怪訝に彼を見た。
「その日、鈴橋くんはもう予定あるんだよね?」
「ないよ」
 きょとんとして彼は言う。
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