初めての恋のお相手は
その後

疲れていたこともあって
そのまま、ふたりでリビングで眠ってしまった。


起きた時には
祠堂さんは、いつもの祠堂さんに戻っていた。



「……ごめんなさいね、怖がらせて」



お風呂に入って、遅めの朝ごはんを食べた後

祠堂さんが昨日の…
正確には今日の出来事について、謝罪してきた。



「頭に血が昇っちゃって、抑えられなかったわ」



机を挟んで、向かいに座っていた私は
その言葉に首を横に振った。



「怖くなかったです」

「でも…」

「……かっこよかったです」

「…」



申し訳なさそうに眉を下げる祠堂さんに
本心を告げれば

祠堂さんは不意打ちを食らったかのように
沈黙して


それから



「……楸。私、まだ神経高ぶったままだから
あまり、可愛いこと言わないでくれる?」



ほのかに赤く色づいた表情にきょとんとする。



「え?」

「襲いそうになるから」

「…」



真顔で言われた言葉に、今度は私が沈黙する。



……。



「…あ、あの…」



とにかくなにか話さないと、と
赤面しながら、必死に言葉を絞り出そうとした時
祠堂さんが私を呼んだ。



「楸」

「は、はいっ」



慌てて、居ずまいを正し
上擦った声で返事をすれば、祠堂さんは微笑んで
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