初めての恋のお相手は
5
――…



「なあ、楸」

「なんでしょう?」

「ストーカー行為は収まったのか?」



厨房で、スグリさんの補助に入って
作業していると

まるで従業員かのように
堂々と厨房に入り浸って、スグリさんに絡んでいた傑さんが、私に質問してきた。



「痛!!」

「デリカシー無さすぎ」

「殴んなくたっていいだろっ
こゆのアホ!暴力女!」



ホールから戻ったこゆさんに
トレーで頭をはたかれ、悶絶する傑さん。

頭を押さえ、涙を浮かべながら
こゆさんを睨み付ける。

こゆさんは、ふんっと聞く耳持たず
そのまま私の所へやってきて



「ごめんね、ちょっと仲良くなったからって
失礼な事ばっか言って…」



我が子の失態を謝罪する母のように
私に謝るこゆさん。



「大丈夫です」



あれから、宣言通り

スグリさん目当てで
傑さんは何回もお店にやってきた。


最初は、やっぱり意識してしまって
ぎこちなかったけど

お店を訪れる度に、距離を保ちながら
私との会話を試みようとする傑さん。


色々話したり、質問したり、されたりする中で
段々と私も傑さんに慣れてきて

今は、初めて会った時よりも
大分、距離が近付いていた。
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