初めての恋のお相手は
「…えっと、とりあえず」



気を取り直すように、私に顔を向けて



「スグリさんに会いに
店に来ること結構あんだけど」


「今後は、気を付けるから」


「よろしく、頼んます」



たどたどしくても、言葉を尽くしてくれる。


口調は荒いけど
見た目も派手で、やんちゃな感じだけど
その態度から悪い人ではないのが伝わる。



「…白木、楸です
よろしくお願いします」



改めて自己紹介すれば

どことなく
落ち着かなそうな表情を浮かべていたあの人は

ふっと、目元をやわらげて



「長谷川(はせがわ)傑っす
よろしく」



子供みたいに懐っこい笑顔を見せた。
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