恋愛短編集10作品

Love


映画を見終え、ショッピングモールを目的もなく4人でウロウロ。
楽しい時間は過ぎるのが早い。
もっと一緒にいたかったと、感傷に浸るほどに。
心は正直。ただ、頭では理解できない。
『好きかどうか』
奪われたくない。
それは、他にいないから?
もし、同じように思える人がいれば。この気持ちは揺れるのだろうか。
誰か他の人から告白されたとして、それを受け入れるかと聞かれたら答えは決まっている。
NOだ。特別。
ずっと俺を好きだったと言われ。その年月は気持ちも変わらず。
信じてもいいように思う。
そう、今までは。
あまりよく知らない女の子から好意を告げられても、どこか真剣さも見えず。


お昼休みの時間。
天気が良くて、解放された屋上でお弁当。
山田が呼び出しを受けたので二人。
「はぁ?好きかどうかわからない?今更?」
ついポロリと出てしまった言葉に。朗はそんな返事で。
「ハナに告白したとき、言われなかったか?」
「……壁ドンだからな。わからせてやるよって。」
なんだ、そのかっけぇ~のは。自信に満ちて。
いや、それだけ必死だったと。
「わからせてくれよ、俺にも。」
「ばぁーか。お前を落とすようなセリフを吐く俺とか、考えただけでもキモチわりぃ。」
酷い。俺の親友(?)なのに。
「えー、見てみたぁーいい。」
いつから居たのか、山田が横から。
「山田は、朗を好きだと思ったのはいつ?告白された時に、OK出したのは何故?」
俺の質問に、山田は一瞬ポカンとした表情。
そこから視線を斜めに、記憶を探しているのだろうか。
「告白をOKしたのは、この人とキスできるかって考えたら。嫌じゃなかったから。」
キス。だと?
視線を朗に向けると、俺に対して口元の笑みで無言。
山田に視線を戻すとニッコリ笑顔。
俺はため息を吐き。空を見上げた。
いい天気だな。
「いつ好きになったか、覚えてないよ。この人、強引だし。」
そうだよなぁ。一緒ってわけにいかないよなぁ。
キスかぁ。星崎と。
一気に上昇する体温。
何を考えていたか。誤魔化すように立ち上がり。
「悪い、ちょっと外す。」
二人の様子も見ず。恥ずかしい姿を見せたくなくて、逃げるように走った。
階段を駆け下り。廊下を確認せずに曲がって。
誰かとぶつかった衝撃。
目に入ったのは、女の子が体制を崩して倒れるところ。
慌てて手を伸ばし、支えたつもりだけど。
勢いに引きずられ。
片膝を廊下に打ち付けながら、腕には女の子を抱え。
なんとかケガをさせずにすんだのだと。ホッと一安心。
それも束の間。
顔を上げた女の子が星崎で。
間近に、顔のアップ。腕には体重をあずけた無防備な姿。
そしてほんのり香る良い匂い。
「あの、ありがとう。」
はっ。
気づくと。無心に近い沈黙で星崎を見つめていた。
「あぁ、ごめん。前を見てなかった。大丈夫?」
星崎の身体を支え、立たせる。
軽いな。そして柔らかい。
「大丈夫。私も前を見れてなかった。ごめんなさい。」
目指す方向は屋上。
「山田に呼ばれてた?」
「うん、村島君がいるからって。誘ってくれたの。」
俺がいるから。それは。
「俺はここにいて、屋上にはいないけど。どうするの?」
選んで欲しい。そんな情けない、探るような質問。
星崎は優しく微笑み。
「一度、屋上には行くわ。誘ってくれたのを断りに。」
それは。俺を選んでくれたと考えていい?
「行かないでいいよ。俺と来て。お昼時間が終わってしまう。」
わがままに。甘えるような声。素直に。
だって一緒に居たいから。行かないで欲しい。
星崎の手を引いて、距離を縮め。
どこまで許してくれるのか。


< 70 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop