【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「理由がなければダメでしょうか? 誰かに親身になること――愛することに、理由がないといけませんか?」


 亡くなった自分の子のかわり――はじめはそんなふうに思っていたのかもしれない。少なくとも、フィオナが抱えていた悲しさ、寂しさ、苦しさを埋めてくれる存在だったことは間違いないだろう。

 けれど今、フィオナはダニエルに対してそれ以上のなにかを感じている。自分の子供だからとか、他人の子供だからとか、そんなことは関係ない。ただただかわいくて、愛しくて、大切でたまらないのだ。


「……いや、君の言うとおりだ」


 ややしてアシェルがそうこたえた。その表情は今にも泣きだしそうな笑顔で、フィオナは思わず目を見開く。


「ありがとう、フィオナ。君のおかげでようやく決心がついた。これからは私も、ダニエルの父親として、きちんとこの子と向き合おうと思う」


 温かく優しい表情のアシェルに、フィオナは満面の笑みを浮かべた。


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