The previous night of the world revolution4~I.D.~
─────…その日の朝、ルレイアはまたしてもうなされていた。

ルレイアを悪夢から解放しようと、必死に揺り起こす。

「ルレイア…大丈夫か?」

「んん…」

「起きろ。それは夢だからな」

夢と現実の区別がつかなくなったら、おしまいだ。

完全に、この船に呑み込まれてしまう。

「ゆめ…」

「あぁ、夢だ」

「そうか…。夢かぁ。ふふ…」

ルレイアはよろよろと起き上がって、目を擦っていた。

明らかに…夢見が悪そうだ。

かく言う俺も、ここ数日の夢は思い出したくもないような酷い悪夢だった。

ルレイアを支えてやらないといけない。その一心で、なんとか正気を保っている有り様だ。

「大丈夫か…?ルレイア」

「…えぇ…平気です…」

平気だという言葉が、全然平気に聞こえない。

俺以上に、ルレイアの方がよっぽど重症のようだ。

ルリシヤは平気な振りをしているが、あいつもあいつで仮面で隠しているだけで、本当は平気ではないのだろう。

「毎日毎日…うんざりしますねー…。もう悪夢は飽きましたよ…」

「…本当にな…」

軽口が出てきているのだから、まだ余裕がある…と思いたいが。

ルレイアもルリシヤ同様、強がりだけは一人前だからな。

「いっそのこと、早くシェルドニア王国に着いてしまいたいですね…」

見てみろ。本音が出てきた。

シェルドニア王国に着いたら、煮られるか焼かれるか揚げられるか、何されるか分かったものじゃないのに。

それでも、そっちの方が悪夢を見るよりマシなのだ。

「…ルレイア。少しでも何か食べろ。昨日も食べてないだろ」

最近のルレイアは、全然食べない。

昔の、入院してた頃のルシファー並みに食べない。

「食べるって…。でも飲食物には軒並み、変なお薬が混ぜられてますよ」

「そりゃそうだろうが、でも何も食べないで、いざというとき体力なくて動けないよりマシだ、ってルリシヤが言ってただろ」

「まぁ…そうですけど…」

ようは食べたくないんだろ。食欲ないんだこいつ。

そうはいかんぞ。

「ほら、あーんでも口移しでも何でもしてやるから、食べろ」

「ふぇ…!?マジですか?分かりました、じゃあ頑張って食べます」

さすがに口移しは方便である。

とにかく、少しは食欲が出てきただろう。

薬は入ってるだろうが、何も食べないよりマシだ。
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