The previous night of the world revolution4~I.D.~
私は、心から安堵した。

これで、ルレイアとルリシヤ…どちらかは生きていることが確認出来た。

フューニャさんの占いで、恐らく生きているであろうことは予測していたが…。彼らの生存を示す確かな証拠は、何もなかった。

でも、今ようやくはっきりした。

少なくとも、三人全員が死んだしまった訳じゃない。

ルレイアとルリシヤ、どちらかは生きてる。

それが分かっただけでも、大きな進歩だ。

「マジか!ルレ公かルリ公は生きてんのな!」

「うん」

「やったぜ!今日は祝砲だ祝砲!」

それをやるなら祝杯にしてくれないかな。

すると。

「…嬉しそうなところ水を差して悪いが、そのメッセージ、信用して良いのか?」

と、ヴァルタ。

「どういう意味?」

「ファイルに名前が書いてある訳でもなし、誰かがルレイア達の振りをして、偽のメッセージを送ってきてる可能性がある」

「…」

「それに、誰かから脅されて、無理矢理言わされてるだけかもしれないだろ?」

「まぁ…それはそうだね」

勿論、その可能性は頭に入れてる。

その可能性を差し引いても、このメッセージは精査するに値する。

「ともあれ、まずはこれを解読しないことには、何も分からない。私もさすがに、ルレイアやルリシヤほど色んな言語を知ってる訳じゃないからね」

暗号のレベルが高過ぎて、解読出来ないなんて。

そんな間抜けは御免だ。

「すぐに解読チームを立ち上げる。最優先だ」

「分かりました、アイズさん」

ルヴィアは、力強く頷いた。

それから。

「ルヴィア、君の嫁、今護衛はついてる?」

「え?はい…。二人ほど…」

「もう少し増員させよう。ルレイア達がフューニャさんに連絡を取ったことを、敵が嗅ぎ付けたら…フューニャさんが狙われる恐れがある」

「…!」

マフィアの妻とはいえ、堅気の人間であるフューニャさんを、マフィアの争いに巻き込む訳にはいかない。

「…ありがとうございます」

「礼を言うのはこちらの方だよ。彼女がこの音声ファイルに気づかず、気づいたとしても削除していたら…ルレイア達の必死のメッセージが、届くこともなく電子の藻屑になっていたかもしれない」

そう思うと、ゾッとするな。

「それから、ヴァルタ」

「うん?」

「来たばかりで悪いけど、君は解読チームの一員になってもらいたい。この音声ファイルの中に、箱庭帝国の言語があったら…」

「あるよ。一部だけど。その部分は私が解読しよう」

「ありがとう」

さすがに、箱庭帝国の古い言語が分かる人物は、ルティス帝国広しと言えど、滅多にいないからな。

ヴァルタでも分からなかったら、そのときはルアリスに協力を仰ごう。

「へい!アリューシャ!アリューシャは何すれば良い?」

「アリューシャは…」

一緒に解読して…と言うのは無理だし。

そうだな。じゃあいつも通りで行こう。

「私の横で計算ドリル頑張って。私の精神衛生の為に」

「よし来た。任せろ!」

馬鹿馬鹿しいと笑うことなかれ。

アリューシャが横にいるのといないのとでは、気の持ちようが全然違うんだからな?
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