The previous night of the world revolution4~I.D.~
当然どの方法にもリスクは伴うし、実現の可能性もまちまちだが。

一応現実的に、考慮に値する方法は三つ。

「一つ目。暗殺させるなら、もういっそ暗殺させてしまおう作戦」

「…ふぉ?」

きょとんと首を傾げるアリューシャ。

しかし、アシュトーリアさんは。

「成程。ルレイアを利用したいなら利用してもらって、用事が終わったら返してもらうってことね?」

「はい。そういうことです」

こちらが譲歩して、いっそルレイアを期限付きで貸し出し。

用事が済んだら、つまり暗殺が終わって事が落ち着いたら、耳揃えてちゃんと返してね、と約束してもらう。

一番平和的な解決方法がこれだ。

私達もリスクを冒す必要はないし、交渉次第では、ルルシーやルリシヤ達の安全も保証してもらえるだろう。

「ルレイアに危険がないなら…私はその方法でも良いと思うけど…」

とにかくルレイアの生存を第一に考えているシュノは、この方法に賛成した。

しかし。

「あの…発言しても良いでしょうか?」

一人だけ準幹部の身で、発言を遠慮してしまっていたルヴィアが、おずおずと手を上げた。

「勿論、構わないよ。議論の場なんだから、意見があるなら喋ってもらわなきゃ困る」

私だって、見落とすことくらいあるからな。

意見があるなら何でも話してくれ。判断材料が増えるのは良いことだ。

「ありがとうございます。では、失礼して…。その方法だと…もしアシミムという人が約束を守らなかった場合…ルレイアさんを返してもらえるんでしょうか?」

「…そうだね…」

それが、大きなデメリットだ。

「それどころか…。暗殺が終わった途端、アシミムに手のひらを返されて…国王暗殺の実行犯として、口封じの為に処刑されるようなことになったら、」

「やめてっ…そんな不吉なこと!」

ルレイアが処刑されるなど、考えたくもなかったのだろう。

シュノが声を荒らげて、ルヴィアの言葉を遮った。

「す、済みません」

「いや…良いよ。君の言いたいことは分かる。私もそれは考えた」

最悪の事態を考えたくない、その気持ちは分かる。

しかし。

「シュノ。気持ちは分かるけど…今は、感情は横に置いておこう。感情は大事だけど、感情だけで動いたら見えるものも見えなくなる」

「…ごめんなさい…。分かったわ」

辛いのは、この場にいる皆が同じだ。

でもだからこそ、今は少しでも冷静にならなくては。

「…ルヴィアも。ごめんなさい、大きな声出して…」

「いえ…大丈夫です」

ルヴィアに謝るシュノ。

彼女は、ぐすっと鼻を啜って、涙の滲んだ目を擦った。

そんなシュノの背中を、アシュトーリアさんが慰めるようにさすってあげていた。

…まるで、お通夜のような雰囲気だが。

今は、議論を進めるとしよう。
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