The previous night of the world revolution4~I.D.~
「方法二つ目。殺される前に殺してしまおう作戦」

「…それさっきと同じでね?」

まぁ、発想は似てると言うか…同じではあるけど。

でも、今度は殺す相手が違う。

「良い?殺される前に殺すんだよ。つまり、ルレイアを殺される前に、アシミムを殺す」

「うおぉ!成程、王道だな。悪を成敗すんだな?」

私達が悪であるか否かは別にして、そうだね。

ルレイア達を連れ去った悪者をやっつけて、意気揚々とルレイア達を連れ戻す。

一番王道な解決方法だ。

そして、最もマフィアらしい手口とも言える。

更に、もう一つ大事なメリットがある。

「良いじゃん。ぶっ飛ばしてやろうぜ。ルレ公達にひでぇことしやがって、腹立つからさ」

そう。私達の溜飲が下がるという、大事なメリットが。

やられたら倍にしてやり返すというのが、私達マフィアの鉄則でもあるしな。

「それは私も賛成だけと…。でも、どうやってアシミムを殺しに行くの?私達、そもそもシェルドニアに入国も出来ないのに」

と、シュノ。

その通り。現地に行けなければ意味がない。

「我々でなくても…。顔が割れていないであろう末端の構成員を何名か、旅行客として入国させるとか…」

シュノの問いに、ルヴィアがそう意見した。

うん。良い切り口だ。

さすがに、『青薔薇連合会』の全てのメンバーを把握している訳じゃないだろうからね。

顔の割れていない構成員を送って、暗殺させても良いのだが…。

アシュトーリアさんが、異を唱えた。

「…でも、末端の部下達にアシミムを殺せるかしら。護衛がついていないはずがないし…。無駄に部下を死なせることになるだけかもしれないわ」

「はい。私もそう思います」

アシミムが一人で街中を歩いてくれているのなら、いくらでも殺せるけど。

間違いなく護衛がついているだろうし、引き金を引くだけで簡単に仕事が終わるほど、生易しい相手ではなかろう。

敵は、あのルレイア達が手を焼いている連中なのだ。

末端の構成員を何人か送ったところで、焼け石に水だ。

「なら、どーすんの?」

「…我ながら、悪どいことを考えてる自覚はあるんだけど」

「あ?」

「ルレイアのハーレム会員の中でも、特に熱心な会員を募って、爆弾抱えてアシミムの家に飛び込んでもらう」

「…」

「…」

「…成程」

こんな方法が現実的だと考えてしまうほどなのだから、私達がどれほど切羽詰まっているか、想像もつくというものだろう。
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