The previous night of the world revolution4～I.D.～

「…そうだ、『ホワイト・ドリーム号』のチケットを送ってきたのは、やはりお前達なのか？」

と、ルリシヤ。

そういえば…オルタンスの名前で送られてきたんだったな、あれ。

「そうです。元々は帝国騎士団長から、ルティス帝国国内の旅行券…？のようなものを送られていたのですが、ルシードがその郵便物の中身をすり替えて送ったのです」

「ふーん…。じゃあやっぱり、あの帝国騎士団長はシロなんだな」

旅行券を送ったところまでは事実なんだな。

何を考えていたんだか。

「まんまと乗せられたかと思うと腹も立つが…。今となってはどうすることも出来ないな。それよりも、ルレイア先輩は今、どうしてる？」

「…アシミムの忠実な部下として、ミレド王暗殺計画の推進と、あなた方の捜索を」

「…アシミムは、本気でミレド王を殺すつもりなのか」

「えぇ。あの人はその為に、ルレイア・ティシェリーを遥々ルティス帝国から呼び寄せたのですから」

…忌々しいことにな。

アシミムが、国王の暗殺なんて企てなければ…こんな事態を引き起こす必要はなかったものを。

「ふむ。聞きたいことは色々あるが…。まず、アシミムがミレド王の命を狙う理由を、改めて聞こうか。てっきり、この国の狂った洗脳システムを打破しようと、英雄的思想で国家転覆を狙っているのかと思ったが…お前が言うには、そうではないらしいな？」

「えぇ。あの女に、そんな英雄的な考えはありません」

はっきり言うじゃないか。

俺もそう思う。

アシミムは、ルアリスがそうだったように、国の為とか人々の為に生きようとか、そんな考えは一切ない。

大体そんな考えを持つ者が、他国の人間を洗脳して連れてくるなんて非人道的な真似をするものか。

「あの女はこの国を変えようなんて思ってはいません。ただ、人質にされた弟を取り戻したいだけなのです」

「…前もそう言っていたな」

「はい。信じて頂ければ幸いです」

俺は、単にアシミムが叔父に簒奪された王位を取り戻したいから、だと思っていたが。

そんなに単純ではないらしい。

「アシミムには、弟がいるのか」

「はい。年の離れた弟…それも腹違いの弟です。名前はラトヴィ。ラトヴィ・ヘールシュミット」

ラトヴィ…。