The previous night of the world revolution4~I.D.~
王族の争いなど、まず例外なく下らないものだと、ルレイアがよく言っている通り。

全く以て下らない。糞どうでも良い。

そんな馬鹿げた家督争いに、何故俺達が巻き込まれなければならないのだ。

「ミレドはラトヴィが王太子に定められてしまうと、自分の王位継承権がラトヴィより下になってしまいますから、それは断じて許せなかったのでしょう」

国王の実の弟で、次期国王として自他共に認める最有力候補であった自分が。

自分にとって甥っ子と言えど、側室の子で、自分より遥かに年下の若造に、王位を奪われるのは…とんでもない屈辱だったに違いない。

それは分かるが、だからって…。

「…自分の兄を、暗殺するなんて…」

「本当に暗殺されたのかは分かりません。死因は病死ということになっていますし、前王が病を患っていたは事実ですから。でも…アシミムは、父親はミレドに暗殺されたと思っています」

それで、あんなにミレドを憎んでいるのか。

気持ちは分かるが、だからって自分も叔父を暗殺しようとするのでは、同じ穴の狢ではないか。

「…この際、前王の死因なんてどうでも良い。ラトヴィとやらは何処にいる?何処に隠されているんだ」

「はっきりとは分かりません。恐らく、王宮の地下かと…」

「それを取り戻す為に、アシミムは躍起になってる訳か…。どうせなら、アシミムも一緒に幽閉してくれれば楽だったものを」

ルリシヤの言う通りだ。

「そもそも、アシミムが可愛がってた弟を幽閉なんてすれば、アシミムに憎まれることは…ミレドだって分かってるんじゃないか?」

何でわざわざ、アシミムを怒らせるようなことをする?

「ミレドは、アシミムとラトヴィの仲が良かったことを知りませんからね。貴族の姉弟が仲が良いなんて話はまずありませんし、まして腹違いともなると…」

「…そうだな」

まぁ…例外はあると思うけどな。

事実、ルレイアのところは…。。

…いや、その話は、今は置いておこう。

「それに、ラトヴィが幽閉されてからというもの、アシミムは一度もミレド王に『弟を解放してくれ』とは言っていません。ラトヴィと仲が良かったことを隠して、ミレド王への憎しみを悟られないようにしているんです」

「…案外女優なんだな、あの女…」

なんともしたたかな女優だ。

そうやって、自分の殺意を隠し…ミレド王への憎しみを悟られないようにしながら、腹の中では虎視眈々とミレド王の喉笛を掻き切る機会を狙っているのだから。
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