The previous night of the world revolution4~I.D.~
「ルアリス。お帰り」

「あっ…アイズレンシア殿…。済みません、迎えまで…」

「シェルドニア王国から帰ってきたばかりで、疲れてると思うけど…」

さすがのルアリスも、少し顔色が悪かった。

シェルドニア王国からルティス帝国は、相当の長旅だ。それは疲れるだろう。

本当なら、一日二日くらいは休んでもらいたかった。

だが、今はその時間すら惜しかった。

「いえ…。どうしても、すぐに伝えなくてらならないと思ったので」

「一体、どうしたの?何が分かったの?」

私がそう尋ねた、そのとき。

「ルアリスが帰ってきたって、本当なの?」

血相を変えたシュノが、応接室に駆け込んできた。

ルヴィアが、シュノにも伝えてくれたらしいな。

「ルレイアは?ルレイアは無事なの?」

シュノは、胸ぐらを掴みかねない勢いでルアリスに詰め寄った。

「シュノ。気持ちは分かるけど…」

正直、私はルアリスがルレイアの安否を掴めたとは思っていなかった。

期待しないようにしていた。

ルルシーやルリシヤでも、ルレイアの生存は分からなかったのに。

ルアリスが、何らかの有益な情報を掴める可能性は、そんなに高くない。

だから、ルアリスが手ぶらで帰ってくることも覚悟していた。

それはそれで良いと思っていた。

しかし。

「大丈夫です。ルレイア殿は無事です。ルルシー殿とルリシヤ殿も無事だそうです」

ルアリスは、はっきりとそう答えた。

まるで見てきたかのような言い方に、シュノはしばし呆然として。

それから、顔をくしゃくしゃにして崩れ落ちた。

「良かった…!良かった、ルレイア…!」

客人の前だということも構わず泣きじゃくるシュノを、私はそっと支えた。

良かった…本当に。

「マジか!ルレ公無事なの!?やったぜ!え?マジで?マジなの?」

アリューシャもこのガッツポーズ。

「えぇ、マジです。シェルドニア王国で、ルレイア殿に会いました。洗脳もされてないそうです」

「そうか…会ったのか。それは良かった…」

私は、ホッと胸を撫で下ろした。

ここ最近で、一番嬉しい瞬間だった。
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