The previous night of the world revolution4~I.D.~
だって考えてみろよ。アシミムが何をやってきたか。

「髪型を縦ロールにするわ、ろくでなしの弟の為に叔父の暗殺を企むわ、その上に関係ない異国人の俺達を拉致するわ、薬物だの何だので洗脳するわ、挙げ句に暗殺の実行犯を押し付けようとするわ…」

おまけに、その弟は女奴隷をレイプして自殺させるようなクズだからな。

クズの姉はクズってことか。

「…縦ロール、関係あるのか?」

「関係あるぞルルシー先輩。大事なことだ」

後ろで二人がまたこそこそ話してる。

縦ロールは大事だよ。なぁ?

「おまけに俺とルルシーの愛の絆を汚した!最低ですよお前。生きる価値ないですよ。縦ロール刈られても文句言えないでしょ?」

「…」

アシミムも、多少は自覚していたらしく。

さすがに、決まり悪そうに口をつぐんでいた。

しかしルシードは、全く揺るがなかった。

…見上げた根性だ。こいつは。

「そんなクズに…何で味方をするんです?あなたは」

華弦と繋がってることがバレる訳にはいかないから、まだ言わないが。

真面目な話、そいつの弟がやったことを考えてみろ。

女奴隷を好き勝手にレイプし、子供を孕めば捨て。

挙げ句自殺までさせた、最高のクズ野郎じゃないか。

俺だって嫌がる女を屈服させるのは好きだが、俺はちゃんと、終わる頃には喜んで俺に身体を差し出すように「溺れさせて」やってる。

超絶技巧テクニックを駆使して、女に生まれてきて良かったと思わせてあげてる。

だって痛め付けるだけのプレイなんて、猿でも出来るだろう。

それはただの強姦魔だ。

そんな強姦魔の弟を庇っている時点で、この女も同罪だろう。

ルシードがそこまで知っているのかは定かではないが。

「あなたはそこの縦ロールと違って、馬鹿ではないはず。それなのに、何故その女の側につくんです?俺と同じく…洗脳でもされてるんですか?」

「…俺は洗脳などされていない」

ルシードは、静かに答えた。

ほう。

洗脳されてる奴の、「俺は洗脳されてない」という言葉ほど、信じられないものはないな。

泥棒が私盗んでないですよ、と言ってるのと同じことだ。

「なら、あなたの意思でアシミムに味方していると?」

「その通りだ」

「弱味でも握られてるんですか?脅されてるとか」

「脅されてなどいない」

…ふーん。

つまりこの男は、とんでもない物好きか…。

あるいは、縦ロールが好きなんだろう。

どっちにしても、物好きなことには変わりない。
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