The previous night of the world revolution4~I.D.~
俺はゆっくりと上半身を起こして、ルレイアの涙を指で拭った。

そして。

「…お前を泣かせたのは誰だ?」

真っ直ぐにルレイアの目を見つめて、そう尋ねた。

「お前を泣かせた奴を連れてこい。俺がぶっ殺してやる。誰に泣かされた?」

どんな奴が相手でも関係ない。

ルレイアを泣かせる奴は、俺が許さない。

と、思ったのだが。

「…ルルシー」

「…俺か」

じゃあ、俺は俺をぶっ殺さないといけないな。

「…ルルシーは俺が重いですか?」

「あ…?」

さっきから、何の質問だ。

わざわざ夜中に来て、そんな質問をするなんて…。

「…ルレイア。お前どうしたんだ?何があった」

「…質問に、答えてくださいよ」

「…」

…ふざけて言ってる訳でも、冗談で言ってる訳でもなさそうだな。

なら真面目に答えてやろう。

お前が重いか、だって?

「重いに決まってるだろう。お前の重さと来たら、ルティス帝国の全人口の体重より重いくらいだ」

「…そう、ですよね」

「でもそれはお前にとっても同じだ。俺はお前にとって、死ぬほど重い存在だろう。お互い様だ」

「…」

俺だけ軽いとか、お前だけ軽いなんて言わせないぞ。

天秤に乗せたら、丁度綺麗に釣り合うくらいの重さだ。

だから一緒にいられるんだ。

「それから…俺が幸せか、だったな」

ルレイアと出会えて幸せだったか?

何を聞いてるんだ、そんなもん。

「当たり前のこと聞くな。お前は俺の生きる理由だ。生きる理由を得ることに、幸せも不幸せもない」

例えるなら、空気と同じだ。

「あなたは空気と一緒にいられて幸せか?」と聞かれたら、誰だって「はぁ?」って思うだろう。

それと一緒。

空気があるから生きていられるように。

俺は、ルレイアがいるから生きていられるのだ。

しかし。

「…本当に、そうですか?」

「…あ?」

「俺と出会わなかった方が、ルルシーは幸せに生きられたんじゃないですか?俺は、ルルシーの人生を縛り付けていませんか?」

…一体、誰にそんな考えを吹き込まれたのか。

ルレイアは、泣きそうな顔でそう聞いてきた。
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