The previous night of the world revolution4~I.D.~
校舎前の花壇には、色とりどりの花が植えてあった。

…ここの花壇、こんな花が咲いてたんだな。

学生だったときは、こんなところに花壇があることすら気づいてなかった。

花を見ても、全部モノクロにしか見えなかっただろうけど。

何もかもが、今は鮮やかに見える。

「さて…。じゃ、校舎に入りますか」

「…無理はするなよ。ヤバいと思ったらすぐ言え」

「分かってますって」

校舎内に入った途端、俺は鳥肌が立った。

何もかも、俺の記憶にある通り。

俺の悪夢そのまんまだ。

「うわぁ…」

「…大丈夫か?」

「平気です」

今のうわぁ、は懐かしい方のうわぁ、だから。

こんな校舎だったなぁ。そういえば。

教室をちらっと覗くと、学生達が真剣な眼差しで黒板を睨み付けていた。

教壇に立つ教官は、偉そうに教科書を読んでいた。

なんとも懐かしい授業風景じゃないか。

この張り詰めた空気、やはりランドエルスとは大違いだな。

あのときは、ランドエルスが緩過ぎるのだと思っていたけど、ここが厳し過ぎるのかもな。

真面目な顔して授業受けてるあの生徒達も、寮に帰ったらルームメイトをいじめて遊んだりしてるのかもしれないな、と思って、また鳥肌が立った。

見た目がいくら真面目そうに見えても、関係ないよな。

俺だってこんなに真面目で、虫も殺せないほど優しそうな見た目だけど、中身は真っ黒なマフィアだし。

そういうもんだ。人間なんて。

「あ、ここ俺達がいた教室ですよ」

「本当だ…。懐かしいな」

六年生の教室だ。

この教室は、俺にとっても思い出深い。

六年生のときは、ルームメイトも卒業して、しかもルルシー…あのときはルキハと名乗ってたけど…彼が傍にいたから、随分マシな精神状態になっていた。

六年生の教室を覗いてみると、こちらもまた、真剣な顔で授業を受ける生徒達。

六年生が最高学年だから、こいつらも来年は、晴れて帝国騎士団に入団する訳か。

悪いこと言わないからやめとけよ。ハムスターランドで喜んでる騎士団長だぞ。

もしかしたらこの学生達も、いつか俺のように闇堕ちして、俺達の同僚になる日が来るのかもしれない。

それはそれで、悪くない。
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