The previous night of the world revolution4~I.D.~
こうして、アホ幹部五人のせいで、強制的にクリスマスパーティに参加させられることになった訳だが。

…クリスマスプレゼントって、何を用意すれば良いんだろうな。

皆でプレゼント交換をするって言ってたが、要するにあれだろ?

幼稚園とかでよくある、皆で輪になってプレゼントをくるくる回して、自分に回ってきたプレゼントをもらう、って奴だろ?

想像しただけで、めちゃくちゃむず痒くなる。

良い歳して何をやってんだ、と。

しかし、俺がどんなに嫌がっても、結局は俺もやらされるのだ。

あんまり拒否していたら、ルレイアかルリシヤ辺りに拘束されるか、アリューシャに長距離狙撃で麻酔弾を撃たれて、無理矢理連行されかねない。

それくらいのことは、平気でしてくるからな、あいつら。

あれでやり口はマフィアなんだよ。クリスマスパーティなんかしてる癖に。

となると…俺はもう、諦めて参加するしかない。

「…はぁ…」

俺は深々と溜め息をついた。

すると、傍にいた俺の部下、ルヴィアが、

「どうしたんですか?ルルシーさん…。ルレイアさんと喧嘩でもしました?」

「いや…喧嘩じゃないけど…」

そもそも、俺、ルレイアと喧嘩したことがない。

結構長い付き合いなんだけどな。喧嘩ってしないんだよ。

それだけ相互理解が深いってことなんだろうか?

いや、単に…俺、別にルレイアが何してても、腹立たないんだよ。

呆れることは無限にあるけどな。

「そうですか。まぁ、ルルシー先輩のとこは仲良し夫婦ですからね~」

「…」

…それはお前ん家だろ?

誰が誰と夫婦だよ。

それはともかくとして。

「…実は、今度ルレイア達とクリスマスパーティをするだけどな」

「そうなんですか。楽しそうですね」

ルヴィアの良いところは、ここで「えっ、マジ?こいつら、そんなことしてんの?ないわー」とか言わないところだな。

心から楽しそうだと思ってくれて、

「実は、うちもクリスマスは嫁とお出掛けなんですよ。クリスマスデートです。帝都の高級ホテルのレストランで一緒にディナーして、それからそこのスイートルームを予約してるんです。そこで俺、プレゼント渡そうと思って」

「…あ、そ」

ルヴィアは、ほくほく顔でそう教えてくれた。

…そりゃ良かったね。

相変わらずラブラブで何より。

「ちなみに…プレゼントは何なんだ?」

「嫁が以前、新しい財布を欲しがってたので、それです」

へぇ、財布か。

まぁ、定番ではあるな。

「うちの嫁、あんまりブランド物は欲しがらないんですけど。若い女の子向けブランドのクリスマス限定新作財布が、先日ファッション誌に載ってて。嫁がそれをじーっと見てたもので」

「…ふーん」

…始まっちゃったよ。ルヴィアの惚気話。

「その顔が凄く可愛くて。俺が『それ欲しいの?予約しようか?』って聞いたら、『私は別に新しいお財布が欲しい訳じゃないです。これ、ちょっと可愛いなんて思ってませんから』って言って。これはもうクリスマスプレゼントは決定だなと思って、翌日即予約しに行きました!売り切れちゃいけないんで、開店十時間前から店の前で待機して、ばっちり予約しましたよ!」

…店の人もびっくりしただろうな。十時間前から並ばれて。

ってか深夜じゃん。

寒いのに、よく待ったもんだ。風邪引かなかったのか?

そういえば先月こいつ、ゲホゴホしてた日あったな。原因はそれか。

部下が馬鹿過ぎてびっくりだよ。

馬鹿ってか…嫁馬鹿なんだけど…。
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