The previous night of the world revolution4~I.D.~
…ちょっとごめん。

俺の聞き間違いなら良いんだけど。

うん。きっと聞き間違いだ。そうに違いない。

俺は別に、蒼白は後からyourtubeの動画を漁るだけで良い派だし。

大晦日でも、関係なく普段通り寝て…。

「年越し蕎麦の用意は、俺に任せてくれ。あ、年越しうどん派の人はいるか?」

「俺は蕎麦で大丈夫ですよー」

「私も蕎麦で良いわ」

「私も蕎麦でOKだよ」

「アリューシャも蕎麦食う!」

たまにいるよな、うどん派。

俺はどっちでも良いけど。

いや、今はそんなことはどうでも良いのだ。

「ルルシー先輩も、蕎麦で良いか?」

「え?あ、うん…」

なんか、とんでもないことが勝手に決まりつつある気がするんだけど。

気のせい?これ。

聞き間違い…だよな?

「おせちはどうする?」

「ベルガモット王家御用達の料亭で、人数分のおせちセット、予約してあるよ」

と、アイズ。

人数分って何だよ。

「でも、アリューシャはおせち食べられるんですか?」

そういえば…。

おせちって、子供が好んで食べる物、あんまりないよな。

おせちが大好きな子って、なかなか渋い好みだよ。

典型的子供舌のアリューシャなんて、かまぼこくらいしか食べるものなさそう。

しかし、そこはアリューシャの専属保護者アイズレンシア、抜け目はなかった。

「大丈夫。アリューシャ用に、子供向けの洋食おせち予約してるから」

さすが過ぎるな。

「そうか。まぁ、一応俺も唐揚げとか、ミニハンバーグとかも用意しておくよ。シュノ先輩、年末に悪いが、フライドポテト頼めるか?」

「うん、任せて」

おせちに加えて、そういうオードブルあると、なお良いよな。

ちょっとクリスマスが混ざったみたいな感じ。

「お雑煮はどうする?」

「あぁ。前日に俺が餅をついて持っていくよ」

「何だか悪いね、ルリシヤばかりに任せて…」

無駄に多才だからな、ルリシヤは。

どうしてもそういう役回りになってしまいがちで、申し訳なくなるが…。

「大丈夫だ。料理はルルシー先輩にも手伝ってもらうつもりだから」

「そっか。じゃあ私はおせちを用意して…」

「なら、お酒は俺が持っていきますね」

「私はフライドポテト作るわ。他にも、出来ることがあったら、お料理手伝う」

「じゃあアリューシャは味見係な!」

「よし。分担は完璧ですね!」

何処が完璧だよ。

たまにはアリューシャに、味見以外の何かをやらせろ。

「ということなんで、大晦日はルルシーの家に集合ですね!」

「やったぜ!」

「楽しい大晦日になりそうね」

…ちょっと待て。

なんか色々待て。

聞き間違いなら良いと思ってたが…これはもう聞き間違いではない。

こいつら、俺を強制的に巻き込んで、俺の家で年を越すつもりだ。
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