The previous night of the world revolution4~I.D.~
こいつら二人共、まとめて交番に突き出してやろうかと、本気で思案していると。

「まぁそれは良いけど、ルルシー」

良くないよ、何が良いんだよアイズ。

「大晦日、夕方頃には行くから、宜しくね」

「はぁぁ…!?」

このやり取りで、何で俺の家に来ることが決まってるんだよ。

新年まで押し掛けられてたまるものか。何とかして計画を白紙にしなければ…。

と、思ってると。

「失礼します、ルルシーさん」

「あ、ルヴィア…」

俺の部下、ルヴィアがやって来た。

「これ、頼まれてた資料まとめておきました」

「あぁ、ありがとう…」

…どうでも良いけど、ルヴィアさ。

俺の部屋が幹部の溜まり場になってても、一切動じなくなったよな。

これが俺の日常だって?やめてくれ。

丁度良い。折角タイミング良くルヴィアが来たんだから、一緒に説得手伝ってもらおう。

「ルヴィア、この馬鹿共、大晦日から俺の家に入り浸って年を越すつもりでいるらしいんだ」

「え、そうなんですか?」

「ふざけてると思うだろ?ちょっと一緒に止め…」

と、言いかけたとき。

ルレイアが、とんでもないことを言い出した。

「ところでルヴィアさん、大晦日はどうするんですか?嫁と過ごすんですよね?」

ばっ…!こいつ!

ルヴィアに「嫁」なんて魅惑のワードを使ってしまったら…。

「…えぇ!勿論です!」

…案の定、ルヴィアの目はキラキラと輝いていた。

…あぁ…。

「ルヴィアさん家も蒼白ですか?」

「いえ、今年は嫁が、初日の出を見に行きたいって言ってるので。ちょっと行ってこようかなと」

「初日の出か~。良いですよね」

一度は行ってみたいけど、ちょっと腰が重いよな。

寒いし。

「なんでも、新年一発目の日の出の瞬間にしか出来ない呪術があるらしくて。それをやりたいんだそうです。今から色々準備してて…。わくわくしてるのが凄く可愛いんですよ」

お前の嫁は、年明けから一体何をやろうとしてるんだ?

それを「可愛い」の一言で片付けられるお前が凄いよ。

「初日の出を見た後は、一緒に福袋を見に行くんです!」

「へぇ~…。堪能してますねぇ、お正月」

「はい!」

うっきうきのルヴィア。

いや、それは良いんだけど…。それより。

一緒にルレイア達を止め、

「俺達もルルシーの家に集まって、お正月を堪能するんですよ。お互い楽しみましょうね、ルヴィアさん」

「はい!そちらも楽しんでくださいね」

「…」

「それじゃ、俺は仕事に戻りますね!大晦日までには片付けないと!」

「…」

ルヴィアは、るんるんと自分の部屋に帰ってしまった。

…さよなら。俺の助け船。

何の役にも立ちませんでした。

「…うふふー」

「…この野郎…」

にまにますんなルレイア。

こいつ、分かっててルヴィアに「嫁」の話を振ったな。

「諦めなよルルシー。大体ルレイアとルリシヤにかかったら、鍵閉まってても入ってくるんだからさ」

アイズが、ポン、と俺の肩に手を置いた。

畜生…。こいつら、いつか絶対追い出してやる…。

と、心に誓ったものの、それが叶うのはいつになることやら。
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