The previous night of the world revolution4~I.D.~
人生ゲームが盛り上がってきた、午後八時過ぎ。

「…zzz…」

「アリューシャ、寝ちゃってるね」

「いつもならアリューシャはもう寝てる時間だからね」

八時だぞ。

もう寝てるのかこいつ。普段。

お子様か、と言いたいところだが…。最近の子は割と遅くまで起きてるって言うし。

お子様を通り越して、年寄りだお前は。

早寝遅起きの年寄りだ。

「宵っ張りはアリューシャ先輩には辛いか。今のうちに年越し蕎麦食べておくか?」

「そうだね。『frontier』見たら、そのまま寝られるように」

九時半なんて、アリューシャにとっては完全に夢の中の時間だからな。

「じゃあ、準備してこよう。天ぷらも揚げるからちょっと時間かかるぞ」

「俺も手伝うよ、ルリシヤ」

「ありがとう、ルルシー先輩」

蕎麦打ちからやってくれてんだもんな。

さすがに手伝わないと。

この蕎麦、多分そこらの蕎麦屋よりは美味いと思うぞ。

麺は職人ルリシヤの手打ちだし、出汁はルリシヤが厳選した素材で取った、味深い一番出汁。

揚げたての天ぷらを乗せ、紅白のかまぼこ、甘辛く煮た油揚げ、ネギ、アクセントのゆず胡椒、そして卵黄を真ん中にトッピングしたら。

「はい、出来上がったぞ」

「おぉ…。凄い、美味しそうだね」

ルリシヤ特製、贅沢年越し蕎麦の完成である。

本格的だよな。かなり。

「ほらアリューシャ、起きて。お蕎麦出来たよ」

「みゅ?」

揺り起こしてもアラーム鳴らしても起きないが、食べ物には釣られて起きるアリューシャである。

お前という奴は。

「俺とルルシー先輩の自信作だからな。是非味わってくれ」

「いや、頑張ったのはほぼルリシヤだから」

そば粉から蕎麦打ったのも、材料用意したのもルリシヤだから。

俺がやったのは、ルリシヤが用意した出汁を取ったくらいか。

「…!これ美味しい…!」

蕎麦を啜ったシュノが、驚いた顔で絶賛。

「あぁ、本当。麺が凄いコシがあって美味しいですね」

「うん。お蕎麦屋さんのより美味しい」

舌が肥えたルレイアとアイズも絶賛。

「うまっ!何じゃこれ。年越し蕎麦なんてカップ麺で良いじゃんとか思ってたけど、これうまっ!」

子供舌のアリューシャも絶賛。

俺も一口食べてみたが、確かに美味しい。

冗談抜きで、今まで食べた蕎麦の中で一番ってくらい美味いぞ、これ。
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