The previous night of the world revolution4~I.D.~
蕎麦を粉から打つわ、出汁を一から取るわ、掃除も得意だわ、ルリシヤの多才ぶりには目を見張るが。

…でも人の家に、音もなく勝手に入ってくるのは余計な才能だよな。

ルリシヤの絶品蕎麦を食べ終え、食器を片付けた頃。

「あっ、『frontier』出てきましたよ!」

ルレイアが目を輝かせて、画面の前にかぶり付きで陣取った。

「ほらアリューシャ、起きなきゃ。『frontier』だよ」

「うみゅ…」

半分寝かけているアリューシャである。

「おぉ…。ルトリアさん超緊張してますね」

テレビ画面を見つめながら、ルレイアはそう言った…が。

「あれ緊張してるのか?」

普通にいつも通り…ヘラヘラしてね?

「あれは緊張してる顔ですよ。基本的にルトリアさんは据わってる割に肝小さいですからね。お茶の間に自分達の歌が届けられてしまう…と思ったら緊張し過ぎて、緊張が一周回ってあのヘラヘラ顔になってるんですよ」

まるで見てきたかのような分析だな。

でも、有り得る。

昨日ルトリアのTwitters覗いてみたけど、人語喋ってなかったもん。

『いよいpyoあshhiたほんぱnxvすn(ノ-_-)ノ~┻┻』ってツイートしてた。

顔文字でちゃぶ台ぶん投げてる辺り、精神的にかなり来てるな。

それでもルトリアの歌は、相変わらず上手だった。

ステージに立つと正気に戻るタイプなんだろうな。

「いやぁ~やっぱり良いですねぇ『frontier』は」

「大晦日にも『frontier』の歌が聴けて良かったね。ね、アリューシャ」

「うむ」

「うふふ。後でyourtubeの動画も探そーっと」

大晦日に皆で蒼白歌合戦見て、皆でわちゃわちゃなんて。

どうなることかと思ったが、ルレイアが凄い楽しそうだから、まぁ良いかな…と、思った。
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