The previous night of the world revolution4~I.D.~
ところで。

一般の家庭では、元旦に何を食べるのが普通なのだろう。

おせちを食べる家、お雑煮を食べる家、お餅を食べる家。

元旦でも気にせず、食パンと目玉焼き、なんて家もあるだろう。

俺も独身の頃は、正月だろうと気にせず、朝から菓子パン食ってたもんだが…。




「…フューニャ、これ何?」

「お雑煮です」

今年のクランチェスカ家の元旦は、お雑煮を食べるらしい。

まぁ、たまには良いよな。ド定番で。

しかし。

「…お雑煮…」

…なの?これ。

お雑煮と言っても、全国各地、地方によってお雑煮のレシピは大きく違ってくるだろう。

入れるお餅の形からして、丸か角かで割れるだろうし。

そのお餅を、焼いて入れるか、焼かずに煮るか、とか。

味付けはすましか味噌か、味噌にしても白味噌か赤味噌か、とか。

入れる具材も、地域や家庭によって、色々変わることだろう。

出身地が違う男女が結婚して、初めて迎えるお正月では、お雑煮論争が起きること必至だとか。

俺は別にお雑煮は今までそんなに食べたことないし、お袋の味なんてものも知らない、強いて言うなら嫁の味がお袋の味と化しているので。

丸餅だろうが角餅だろうが、すまし汁だろうが味噌味だろうが、具材に何が入っていようが、何でも構わない。

…と、思ってはいたのだが。

「…フューニャ。これ…何入ってんの?」

「…?」

フューニャはきょとんとしながら、そのお雑煮(?)を食べていた。

我が家の場合、夫婦で出身国が違う為、こういう文化の違いは大きい。

そのお雑煮は、白かった。

これだけなら、白味噌かな?と思うかもしれないが。

そういう白さじゃない。なんか…凄い白い。

ごめん。ちょっと俺の語彙力だと上手く伝えられないんだけど。

クリームスープ的な白さ。

そもそも匂いからして、味噌味じゃない。

まろやか~な匂いがする。

フューニャはぱくぱく食べてるから、食べられないものが入ってる訳じゃないのだろうけど…。

真っ白なスープの中に、マシュマロみたいなちっこい白玉が浮かんでいる。

餅にしては小さいが、まぁこれはちょっとした変化球ということで納得出来る。

不思議なのは、白玉以外の具材。

黒や茶色や、赤っぽい豆みたいなものが、つぶつぶと浮かんでいるのである。

これは何?

それに、器を少し揺すってみると、底から米…と言うか雑穀?みたいなものが出てきた。

…お雑煮とは。一体何なのか。

「…食べないんですか?」

「え?いや食べる、食べるよ」

自分が思ってるお雑煮とは違っていたからと言って。

こんなもんお雑煮じゃねぇ食えるか、と皿を突き返すような、そんな横暴な夫にはならないぞ。俺は。

…よし。

俺は意を決して、皿の中にスプーンを突っ込んだ。
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