The previous night of the world revolution4~I.D.~
…ルルシーさんか?

二人で新婚旅行を楽しんでるときにメール攻撃してくるな、と電話で直々に怒られるのだろうか。

しかし、電話を掛けてきたのは、全く予想外の人物だった。

「え、アイズさん…?」

一応電話帳登録はしてあるものの、アイズさんと電話で話したことなんてほとんどない。

そもそも俺はルルシーさんの直属の部下だから、アイズさんと関わることなんて、まずないのだ。

それなのに、何故アイズさんが…?

と、とにかく電話に出るのが先だ。

「はい、ルヴィアです」

『あぁ、ごめんね夜分に。アイズレンシアです。今、良い?』

「勿論です」

幹部であり、しかもアシュトーリアさんから直々に、次期首領に指名されている人物からの連絡なのだ。

今忙しいので無理です、なんて口が裂けても言えない。

臨時の仕事でも入ったのかと思ったら、アイズさんは俺が全く予想していないことを言った。

『唐突だけど、ちょっとルルシーにメールを入れてみてくれないかな』

「え…?」

メール…?ルルシーさんに?

『アリューシャが、初めて小学校一年生の計算ドリルで100点を取ったから、記念に見せてあげようと思って、ルルシーにメールしたんだけど…全部返ってきてしまってね。PCから送っても、携帯から送っても駄目なんだ。こっちの回線相性の問題かと思ったんだけど…』

「…!アイズさんも、届かないんですね」

『…「も」ってことは、君も送ったんだね?』

さすがアイズさん、耳敏い。

「はい。ついさっき…。俺は携帯からですけど、ルルシーさんに送っても、ルレイアさんに送っても、送信出来なくて…」

『そうなのか…。実は、ルリシヤに送っても届かないんだ』

え、ルリシヤさんまで?

「やっぱり…海の上にいるからでしょうか?」

三人に届かないとなれば、もうそうとしか考えられない。

問題があるのはこちらではなく、恐らく、向こうの方なのだ。

『うん…。でも、昨日は普通に届いたし…。それに、通信が届かない海域には行ってないはずなんだけど…』

「それは…でも…いくらシェルドニアの豪華客船でも…一時的に回線状態が悪い場所に居合わせてしまったら」

『まぁ、一時的に回線状態が悪くなってしまうことは、国内でも普通にあることだからね。でも…私が送ったのは、お昼過ぎなんだよ』

え、お昼過ぎ?

ということは…俺は今送って届かなかったんだから…。

少なくとも午後からずっと、ルルシーさん達は回線状態の悪い場所にいるってことになる。

「何処かの国に停泊している、とか…」

『いや…停泊するのは明日の予定だ。今日は移動してるはず…。天候が悪くて動けないなんて情報も入ってないし。これほど長く連絡が届かないなんて、さすがにおかしい気がしてね』

確かに、おかしい。

しかも…さっきフューニャに聞いた占いのこともある。

たかが占い…と言われるかもしれないが。

ここまで不穏なニュースが重なってしまうと…どうしても、頭をちらついてしまう。

…一応、アイズさんの耳にも入れておくべきだろう。





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