嘘八百
降る雪
 世の中は嘘で溢れてる。

 かんぱーい、とグラスを合わせた後、軽く自己紹介が終わって料理が届く。冷たい前菜、温かい前菜が並んだ。

「皆さんお仕事終わりですか?」
「そうです。皆さんもですか?」
「はい。お疲れ様でした」

 談笑が始まり、冷たい前菜が常温になり始め、温かい前菜が冷め始める。会話に入ることなく、雪は温かい前菜に手をつけた。

 前に並ぶ三人の男性のうち一人が、取り分けてくれるのかと期待して、次の皿を渡そうとする。が、雪は一人分ほどをよそい終えるとトングを手放した。

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