嘘八百

 鈴炉の直感は当たっている。きっとその人間も、雪と同じ道を辿ってきたのだろう。

「ずっと厨房いるんすね。病院って給料良くないんですか?」
「そんなことは無いな」
「じゃあ、そんなに稼いで欲しいものでもあるんですか」

 その質問に苦笑いを返す。ナポリタンとピラフが同時に出来上がる。

「その逆なんだよね」
「……逆?」
「ナポリタンとピラフ出まーす」

 二つの皿を鈴炉が持っていき、雪は返ってきた皿を洗い始めた。

 本来、二人で回すキッチンを一人で回している。給料二倍にしてくれと店長に掛け合っているところだ。

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