嘘八百
店を出てすぐ岬は立ち止まり、雪を見た。同時に五百円玉も目に入る。
「ひとつくらい、本当のことを言ったらどうだ」
この世は嘘で溢れている。
そう思ったのはいつからだったか。思い出すのも難しいほど、記憶は遠かった。
言ったところで、嘘か本当かなんて、分からないのに。
「今年、27になった」
雪の言葉に目をぱちくりさせて、考えるように少し宙を見た。
「じゃあ二つ下だ」
嬉しそうにはにかんだ顔に、毒気を抜かれる。
雪は溜息を深く吐いた。
「信じられない……」