嘘八百
久々に見たと思えば、物言いたげな。
というか、前に見た時に戻っている気がする。
「水です」
戻ってきた鈴炉に代わり、コックコートのまま雪は岬の卓へ水を届けた。
顔が上がり、視線が絡む。
「え、なに?」
「嫌われたかと」
「どうして」
「連絡は返ってこないし、顔を見なかったから」
「連絡?」
連絡先なんて知っていたか、と雪はポケットからスマホを取り出す。
メッセージアプリの中から岬の名前を探す。
「追加してなかった」
追加していないとメッセージを受け取れない設定になっている。