年の差十五の旦那様 外伝①~捨てる恋あれば、拾う恋あり?~
「こちらの人が、職場を探しているらしくて。もしよかったら――と思いまして」
「はじめまして。アシュリー・エインズワースと申します」
サイラスさんに向かって、九十度の見事なお辞儀。どうやら、アシュリーさんはかなり礼儀正しい人らしい。
……私以外には。
「エインズワース……あぁ、王都の」
頭を掻いたサイラスさんは、アシュリーさんを頭のてっぺんからつま先まで吟味するように見つめた。
しばしの沈黙。私が二人を見守っていると、サイラスさんが「ふぅむ」と声をあげた。
「見たところ騎士のようで。それなりに腕は立つのでしょうね」
「はい。何度か剣術の大会で優勝しています」
「だったら、第一段階はクリアです。一応旦那さまに会っていただきましょうか」
サイラスさんが屋敷に戻っていく。
「あぁ、ロザリア。彼を部屋に通しておいてください」
「はい」
今更、私、今日は休暇です――なんて、言える空気じゃない。
(別にいいけど)
と思いつつ、私はアシュリーさんの顔を見上げた。彼は興味深そうにあたりをきょろきょろと見渡している。
「ここはすごい大豪邸ですね」
「……まぁ、辺境伯爵家なので」
辺境貴族は王都貴族よりも権力を持っていることが多い。リスター家は辺境貴族を束ねるお家柄ということもあり、辺境貴族の中でも屈指の財力と権力を所有しているのだ。
「というか、アシュリーさんって剣術大会での優勝経験なんてあったんですね」
不意に問いかけてみる。アシュリーさんはポリポリと頬を掻いていた。
「はじめまして。アシュリー・エインズワースと申します」
サイラスさんに向かって、九十度の見事なお辞儀。どうやら、アシュリーさんはかなり礼儀正しい人らしい。
……私以外には。
「エインズワース……あぁ、王都の」
頭を掻いたサイラスさんは、アシュリーさんを頭のてっぺんからつま先まで吟味するように見つめた。
しばしの沈黙。私が二人を見守っていると、サイラスさんが「ふぅむ」と声をあげた。
「見たところ騎士のようで。それなりに腕は立つのでしょうね」
「はい。何度か剣術の大会で優勝しています」
「だったら、第一段階はクリアです。一応旦那さまに会っていただきましょうか」
サイラスさんが屋敷に戻っていく。
「あぁ、ロザリア。彼を部屋に通しておいてください」
「はい」
今更、私、今日は休暇です――なんて、言える空気じゃない。
(別にいいけど)
と思いつつ、私はアシュリーさんの顔を見上げた。彼は興味深そうにあたりをきょろきょろと見渡している。
「ここはすごい大豪邸ですね」
「……まぁ、辺境伯爵家なので」
辺境貴族は王都貴族よりも権力を持っていることが多い。リスター家は辺境貴族を束ねるお家柄ということもあり、辺境貴族の中でも屈指の財力と権力を所有しているのだ。
「というか、アシュリーさんって剣術大会での優勝経験なんてあったんですね」
不意に問いかけてみる。アシュリーさんはポリポリと頬を掻いていた。


