一輪のバラード
帰宅すると、玄関先でマルが尻尾を振りながらお出迎えしてくれた。
「マル〜!ただいまぁ!」
しゃがむわたしに飛びついて来て、口の回りを舐め回し愛情表現をするマル。
わたしはマルを抱っこすると、居間まで歩き、ソファーに座ってマルをギューッと抱きしめた。
「今シャワー浴びて来るから、待っててね。そしたら、一緒に寝ようね。」
そう言ってマルをソファーの上に降ろし、わたしは寝室から部屋着を持って来て、洗面所に向かうのだが、わたしが移動する度にマルはあとをついて来る。
そして、シャワーを浴びている時は擦りガラス越しにマルが伏せをして待っているのが見えた。
シャワーから上がり、髪を乾かすと、簡単にオールインワンゲルを顔に塗り、「さぁ、寝よ寝よ!マル、寝るよ〜!」と言うと、マルは走って寝室へと向かって行った。
マルと一緒に寝る為に買ったダブルベッドの足元には、犬用の階段が置いてあり、足が短く痛めやすいダックスフントのマルの為に置いたものだ。
その階段からマルはベッドに上ると、わたしがベッドにやって来るのを舌を出して待っている。
わたしがベッドに上がり布団に入ると、マルはまず布団の中に潜り、それからUターンするようにして布団から顔出すと、わたしに寄り添い、わたしの腕枕で横になり寝る体勢に入った。
そして、おやすみのキスをするようにわたしの口を舐めたあと、目を閉じて眠りについた。
「マル、おやすみ。」
わたしはマルの頭のニオイを嗅ぐと、マルを抱きしめ、わたしもマルと共に眠りについたのだった。