一輪のバラード

「最後はわたしですね。桜ひかりと申します。年齢は33歳。桃華と芽衣子と同じ会社で事務員をしています。宜しくお願いします。」

一通り、全員の自己紹介が終わり、徐々に場が和んできたところで男性陣が料理を注文してくれた。

「桃華、いつから28歳になったんだろうね。」

芽衣子が小声で言ってくる。

「知らない。若返りの薬でも飲んだんじゃないの?」
「年齢なんていつかバレることなのに。」
「まぁ、いいんじゃない?桃華のことなんだから。」
「そうだね。」

そのうちに元々注文されていた料理たちが運ばれてきて、席も自由に移動し、お互いを知る時間になった。

桃華は予想通り光平さんの隣を陣取り、キラキラした瞳でずっと光平さんを見つめながら"ここはわたしの場所"と言わんばかりに光平さんに質問攻めをしていた。

わたしは芽衣子の背中を押し、「頑張れ!」と小声で言うと、塩田さんの隣に移動させた。

すると、「隣いいですか?」と樋井さんがやって来た。

わたしは、「あ、どうぞ。」と少し場所を空け、そこに樋井さんは腰を下ろす。

わたしは丁度、出汁巻玉子を食べているところだった。


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