初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「だっ誰だ貴様!関係のない奴は入って来るな!…おい警備!何してる!早くこいつを捕まえろ!」
平久保社長は、いきなり現れた徳永くんや警備の方に怒鳴り散らしていたが、そこでまたもやお父さんが驚きの発言をした。
「…平久保社長。この方は徳永薬品の御曹司であり、次期副社長の徳永真宙さんですよ。ご存知ありませんか」
「…トクナガ?…まさか本当にあの最大手の徳永だとでも…」
「えぇ、その徳永薬品です。真宙さんは私がお呼びして、わざわざ来て頂いたんですよ」
「ヘッ、何の用があって…」
「平久保社長。あなた、さっき私に『話が違う』と言いましたね。しかし、本当に話が違うのはそちらの方だ」
「ほぅ…何の話ですかな」
「…敵対的TOB。一報を聞いた時はまさかと思いましたよ」
「ハッ……あぁ、そうだが?…どうせいずれは買収されるんだ。それが少し早くなっただけじゃないですか、栗原さん」
悪びれることもなく、フン、と鼻をならした。
「ですが、私は拒否します、と申しました」
「ヘッ、拒否も何もできるわけないだろうが。あんたには無理だ、早く現実を見るんだな」
すると、黙って2人のやり取りを聞いていた徳永くんが口を開いた。
「平久保社長、栗原製薬はわが徳永薬品の傘下に入りました」
「……なんだと?」
「『ホワイトナイト』ですよ、平久保社長。徳永薬品が応じて下さいましてね。真宙さんの仰った通り、既に栗原製薬は徳永薬品の傘下に入っています」
「まさか……バ…バカな……」
…そんなやり取りが、夢なのか現実なのか…私は分からずにいた。
「なんて事かしら……まさに…麻里亜が望んでいた事になったみたいね…」
お母さんが呆けた様に私に呟いたことで、ようやくこれは現実なんだと思えた。
『ホワイトナイト(白馬の騎士)』って確か…
敵対的TOBを仕掛けられた際の買収防衛策で、友好的な企業(ホワイトナイト)に買収してもらうことで敵対的買収を阻止することだよね。
確かに、お母さんと話した時に、商社や大企業に買い取ってほしいとは言ったけど、まさかそれが現実となり、しかもそのホワイトナイトが徳永薬品だなんて…
徳永くんは…私を助けてくれる本当の〝白馬の騎士〞なんだね…
ありがとう…なんて言葉じゃ足りないよ…
徳永くん…