初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「ごめんね、急に泣いちゃって。もう大丈夫だから」
少し落ち着いた栗原さんが俺の胸から離れた。
あー、もうおしまいか…
もっと抱き締めていたかったな。
このまま時が止まればよかったのに。
ってゆーか、時よ、止まれっ!
…なんて無謀な願いが叶うはずもなく。
「うん…僕が嫌われてるんじゃなくてよかった。それだけでも嬉しいよ」
「嫌うだなんてそんな!私だって徳永くんのこと」
「え?」
俺のこと…?
「…あっ、ごめん何でもない」
…何で目をそらすの?
「僕のこと、何?」
だって今の流れってさ…
「ううん、ごめんね、何でもないの、今の忘れて」
何でそんなに頑ななんだよ…
「栗原さん、もしかして」
俺のこと…
でも…栗原さんは最後まで言わなかった。
「ありがとう、徳永くん。私も話せて嬉しかったよ。またどこかで会えるといいね。それじゃあ」
涙をまとった瞳で、でも笑顔でそう告げて、俺から離れて駅に向かって行った。
俺は追いかけたかったけど…
これ以上は栗原さんを困らせるだけだと思って…
嫌われたくなくて…
立ち止まったまま、栗原さんの背中を見送った。
これが俺の、甘くて…ほろ苦い想い出。
でもこの淡い片想いは心の奥の奥でまだ小さくも強い炎がしっかりと灯されたまま、現在に至ったりするんだな、これが。
マジで俺って栗原さんに関しては諦めが悪いんだよな…