初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

「結婚するまでは麻里亜の親父さんが煩そうだしまだ手は出さねぇけど、麻里亜は、男は俺しか知らなくていいんだよ」

「…?…それはなぜですか?」

その様な物言いが珍しくて不思議に思い聞いてみると、晶人さんが何故か慌て出した。

「は…!?…なっなぜってお前、そっそういうもんだろ、許嫁だぜ?…あっホラ!そうだ、あれだ!副社長の許嫁が男好きだと体裁が悪いじゃねーか」

「…?まぁ…男好きでは困りますが」

「そっそうだろ!?…ったく変なこと聞くなよ…ふー…」


…さっきから何なのかしら…変なの。
ま、そんなことはどうでもいいけど。

「今は特に詰めるお話もございませんので、私もこれで失礼いたします」

「もう行くのか?ゆっくりしていけよ」

「…え?」

ゆっくり…していけ……ですって?


「あっ、あぁ!戻りが早いと、おっ親父さんが怪しむだろ?仲が悪いんじゃねぇかって」

「いえ、それは大丈夫です。父は今日これから外出で不在ですし、私も仕事がありますので社に戻ります」

「そうか…わかった。…気をつけて帰れよ」

「はい、ありがとうございます。では」

と、私も早々に応接室を後にした。



タクシーに揺られていると、晶人さんのいつにない態度が思い出された。

私の質問に狼狽えながら答えてたし…
それに、何あれ。
ゆっくりしていけとか気をつけて帰れとか…そんなの初めて聞いたわ。

どんな心境の変化かしら。


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