初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
…平久保社長と父の話を口を挟まずに聞いていたのだが、それもそろそろ終わりそうだった。
大半の時間を平久保社長の無駄話に費やされ、やれやれ…と思いながら私も帰る心づもりでいたところに、平久保社長が言う。
「…では我々はこれで終わるが、晶人は麻里亜さんともう少し話したらどうだ。当日の事を詰めておくといい」
すると、それに晶人さんも「そうだな、麻里亜さん、少し話そうか」と同意した。
…そこまで言われたら「はい」以外の答えは絶対にない。
そして父と平久保社長が応接室を出ていき、二人きりになり10秒…
いつもの通り、晶人さんは組んでいた足を投げ出した。
「…あー、疲れた。親父は無駄に話がなげぇからなぁ。…つーか麻里亜さぁ、旅行の話くらい親父さんに適当に言っとけよ」
「それも考えましたが、下手に言うと口裏を合わせておかないと逆に話が拗れる事もありますし、そうすると晶人さんにもご迷惑をおかけしますから」
「へぇ…俺の立場も考えてくれてんのか」
「えぇまぁ」
「…そう言えばお前、一人で飲みに行ったみたいだな、初日の夜」
ドキリとしたけど、平静を装って答える。
「えぇ、ホテルのスタッフの方に、女性が一人でも入りやすいお勧めのお店と聞いたもので」
「ふん…電話したら男が出るから浮気でもしてるのかと思ったぜ」
「すみません、お店の方が出られたみたいですね。…久しぶりに美味しいお酒を頂いて少し酔ってしまって」
「客の男に持ち帰られたりしてないだろうな」
「えぇ、それはありません」
「まぁお前にそんな度胸はないだろうけどな」
…お客ではなくマスターにお持ち帰りされましたけどね。
なんて心の中で呟く。