初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
湯島くんが話し終えると、また平久保社長が声を荒げた。
「ばかな!たまに私に見せに来てたのは、こんな男じゃなく、あれはどう見ても女だったぞ!」
すると、そう言われるのがわかっていたのか、湯島くんは傍らに置いてあったバッグから何かを取り出すと、バサバサっと軽く振った。
よく見るとそれは長い黒髪のウィッグ。
そして、それを素早く器用に装着すると、平久保社長に向き合った。
「今は化粧する時間はありませんが…こんな感じでしたよね、見覚えありませんか」
「なっ…!お前は…まさか本当に…あの女か…」
確かに…
湯島くんは男性なのに、ウイッグ一つで女性にも見えた。
…あっ!お母さんが言ってた長い髪の女性って、きっとこの湯島くんのことだ!
そう気が付くと同時に、隣からお母さんの「あれは…湯島くんだったのね…」という呟きが聞こえた。
その声に怒りはなく、安堵の色が見えた。
じゃあお父さんは浮気してなかったんだ。
よかった…
「あなたの事だから、たまにでも昔の湯島くんの面影を見せておけば、こちらを疑わないと思いましてね」
「ハッ……でもそいつの身体が女であることには変わりねぇ!カツラで女に見えるのなら、あんたも相手にしてたんだろ!」
そう平久保社長が叫ぶと、フロアの栗原製薬ブロック席の前方で、一人の女性がスッと立ち上がった。
彼女は、社長第一秘書の 佐田 柚奈(さた ゆずな)さん。
ふわりふわりとワンピースの裾を揺らしながら颯爽と壇上に上がると、湯島さんの隣へと向かった。
そして、湯島くんが柚奈さんと顔を見合わせ微笑むと、そっと彼女の腰に手を回して言ったの。
「彼女が私のパートナーです」
その一言に「えーっ!」「なにぃー!?」という低い声が一斉に沸き上がった。
それもそのはず、秘書課の中でも見目麗しい柚奈さんは〝栗原製薬のマドンナ〞とも言える存在だから。
でも、実は柚奈さんもまたトランスジェンダーで、元は佐田 柚流(さた ゆずる)という名の男性だった事を知るのは両親と私だけ。
…あ、なるほど。
お父さんは湯島くんの事を柚奈さんに相談していたのかも。
同じ悩みを抱えていた柚奈さんなら、湯島くんの事も分かってくれると思ったんだろうな。
まさか恋人同士になるとは想像してなかっただろうけどね。
「ばかな!たまに私に見せに来てたのは、こんな男じゃなく、あれはどう見ても女だったぞ!」
すると、そう言われるのがわかっていたのか、湯島くんは傍らに置いてあったバッグから何かを取り出すと、バサバサっと軽く振った。
よく見るとそれは長い黒髪のウィッグ。
そして、それを素早く器用に装着すると、平久保社長に向き合った。
「今は化粧する時間はありませんが…こんな感じでしたよね、見覚えありませんか」
「なっ…!お前は…まさか本当に…あの女か…」
確かに…
湯島くんは男性なのに、ウイッグ一つで女性にも見えた。
…あっ!お母さんが言ってた長い髪の女性って、きっとこの湯島くんのことだ!
そう気が付くと同時に、隣からお母さんの「あれは…湯島くんだったのね…」という呟きが聞こえた。
その声に怒りはなく、安堵の色が見えた。
じゃあお父さんは浮気してなかったんだ。
よかった…
「あなたの事だから、たまにでも昔の湯島くんの面影を見せておけば、こちらを疑わないと思いましてね」
「ハッ……でもそいつの身体が女であることには変わりねぇ!カツラで女に見えるのなら、あんたも相手にしてたんだろ!」
そう平久保社長が叫ぶと、フロアの栗原製薬ブロック席の前方で、一人の女性がスッと立ち上がった。
彼女は、社長第一秘書の 佐田 柚奈(さた ゆずな)さん。
ふわりふわりとワンピースの裾を揺らしながら颯爽と壇上に上がると、湯島さんの隣へと向かった。
そして、湯島くんが柚奈さんと顔を見合わせ微笑むと、そっと彼女の腰に手を回して言ったの。
「彼女が私のパートナーです」
その一言に「えーっ!」「なにぃー!?」という低い声が一斉に沸き上がった。
それもそのはず、秘書課の中でも見目麗しい柚奈さんは〝栗原製薬のマドンナ〞とも言える存在だから。
でも、実は柚奈さんもまたトランスジェンダーで、元は佐田 柚流(さた ゆずる)という名の男性だった事を知るのは両親と私だけ。
…あ、なるほど。
お父さんは湯島くんの事を柚奈さんに相談していたのかも。
同じ悩みを抱えていた柚奈さんなら、湯島くんの事も分かってくれると思ったんだろうな。
まさか恋人同士になるとは想像してなかっただろうけどね。